硝子のハンマー


硝子のハンマー

硝子のハンマー


久しぶりに一気に読了。


貴志祐介、4年半ぶりの新作、しかも初のミステリー作品なんだけど。その分、ブランクがありすぎたのかもという感じがしないでもない・・・。


正直言って、今までの貴志祐介作品よりも完成度は低いと思う。というのも、ところどころ、ブチブチ文章が切れるような感じがあり、途中で、ページがなくなっているのかな?という感覚がある部分がある。


あと、致命的なのは、この小説の主人公の人物像がイマイチという感じがする。読んでいる最中に、主人公はわかるのだが、主人公と同じぐらいのキャラが、主人公を含めて3人ほどいるように感じた。正直に言えば、一番感情移入ができるのは、犯人かも。


全体的には、この作品、2部構成になっていて、1部は、殺人のトリックを暴く課程についてで、2部は、犯人側の視点で書かれている。ま、1部を読んで、そこからトリックを予想することができるようにしてあるんだろうけど、2部の冒頭は、それまでの流れをぶった切るようにして、書かれているので、この流れを知らないと、何だこりゃという感じになる。


全体的には、貴志祐介作品特有の専門知識などが随所に散りばめられていて、楽しむことができ、非常に読みやすいのだが、一部では、何となくは、わかるものの実際に、どういうものなのかという挿絵があった方がよかったのではないかと感じる部分もあった。


ま、最後の結末は、何か、中途半端な気もするんだけど・・・。


と、ここまで何だかんだで、批判的にはなってしまったけど、493ページを一気に読めるぐらい、非常に読みやすい作品になっているので、娯楽としてはいいかも。